
工場・倉庫・商業施設などの鋼構造物は、季節ごとの気温変化、湿度の変動、降雨などの環境要因に常にさらされています。春から夏の温度上昇、秋から冬の寒冷化、梅雨時期の高湿度といった季節変動は、鋼構造物の劣化を加速させる重大な要因です。適切な対策を講じなければ、錆の発生、溶接部の疲労、塗膜の剥離など、深刻なトラブルに発展する可能性があります。
このページでは、鋼構造物の耐久性を長期間維持するために、季節変動にどのように対応すべきかを、具体的な方法とともに解説いたします。設計段階での配慮から、メンテナンスの実務的なアプローチまで、新規受注を検討されている企業様や施設管理ご担当者様に向けた情報をお届けしています。
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有限会社西田鉄工は、石川県白山市・金沢市を中心に、北陸エリアおよび全国で 鋼構造物製作・機械製作・金物リノベーション・鋼構造物リノベーション・イノベーション・開発 に携わる専門企業です。昭和49年の創業以来、多くの工場・施設の鋼構造物製造に関わってきた実績と専門知識をもとに、季節変動への対応を含めた耐久性の高い鋼構造物設計・製作をご提案しています。
季節変動と鋼構造物の耐久性の関係
鋼構造物は、その優れた強度と加工性から、工業用施設・倉庫・商業建築など様々な用途で採用されています。一方で、スチール(炭素鋼)を主要材料とする構造物は、外部環境の影響を受けやすいという課題があります。特に季節ごとの環境変化は、見た目では判断しにくい形で内部劣化を進行させます。
■ 温度変化がもたらす影響
熱膨張・熱収縮は、年間を通じて繰り返される環境負荷です。春から夏にかけて気温が上昇すると、鋼材は膨張します。秋から冬にかけて気温が低下すると、収縮します。この繰り返しが、以下の問題を引き起こします。
溶接部への応力
溶接部と母材の膨張率の違いにより、微視的な応力が蓄積。長年にわたる繰り返し応力は、疲労亀裂の原因となります。
ボルト・ナットの緩み
膨張・収縮に伴う部材のズレが発生し、ボルト・ナットの締め付け力が低下する可能性があります。
塗膜の割れ
鋼材の膨張・収縮に塗膜がついていけず、微細なひび割れが発生。そこから水分が浸入し、錆が発生します。
■ 湿度と錆発生のメカニズム
湿度の上昇は、鋼構造物の大敵です。日本の梅雨時期(5月~7月)は特に湿度が高く、鋼材表面に結露が発生しやすくなります。加えて、秋雨の季節(9月~10月)にも高湿度状態が続きます。これらの時期は、以下のメカニズムで錆が急速に進行します。
2. 水分:梅雨時の湿度上昇により結露が発生
3. 酸素:空気中に常に存在
この3つの要素が揃うと、電気化学反応により酸化鉄(赤錆)が発生します。特に降雨後に気温が上昇する晴天時に、乾湿繰り返し腐食が加速します。
北陸地域の金沢市・白山市周辺は日本海に近く、海塩粒子(塩化物)の飛散も影響します。内陸部よりも腐食が進みやすい環境のため、より慎重な耐食対策が必要です。
気温変化への対応方法
季節ごとの気温変化に対応した鋼構造物設計は、製造段階での工夫が重要です。有限会社西田鉄工では、設計段階から施工段階まで、気温変化への対応を組み込んだ製造プロセスを実施しています。
■ 設計段階での熱膨張対策
鋼の線膨張係数は、温度1℃あたり約12×10⁻⁶/℃です。長大な鋼梁では、季節による気温差(冬の-5℃~夏の35℃で最大40℃差)により、数mm~数cm単位の膨張・収縮が生じます。設計段階では、以下の対策を組み込みます。
■ 溶接部の疲労軽減
溶接部は、母材と比較して組織が異なり、繰り返し応力に対する耐性が低い傾向があります。気温変動による繰り返し応力は、溶接部の 疲労亀裂 を引き起こす主要因の一つです。これを軽減するために、以下の技術が採用されます。
- PWHT(Post Weld Heat Treatment):溶接後の焼戻し処理により、溶接部の残留応力を軽減。特に厚板部材や重要な接合部で実施
- グラインダー仕上げ:溶接ビードをグラインダーで滑らかに仕上げ、応力集中を低減
- 超音波検査:完成後の非破壊検査により、見えない内部欠陥を早期発見
- 繰り返し応力を考慮した設計:溶接部を避ける経路での応力伝達、または十分な肉厚確保により応力を分散
湿度・降雨への対応方法
北陸地域の石川県は、年間を通じて湿度が高く、特に梅雨時期と秋雨時期に降水量が増加します。鋼構造物が水分にさらされることは、錆発生のリスク極大化を意味します。湿度・降雨に対応した設計・施工技術は、耐久性確保の最重要ポイントです。
■ 梅雨時期の防水対策
梅雨時期(5月~7月)の長雨は、鋼構造物にとって最大の脅威です。特に工場の屋根・壁面・開口部周辺は、雨水の浸入経路となりやすく、ここから結露が発生し、内部腐食が進行します。梅雨対策には、以下のアプローチが有効です。
屋根勾配の最適化
雨水が溜まらないよう、屋根勾配を2/10~4/10確保。鋼製屋根材の場合は、勾配が急なほど水捌けが良く、雨漏り防止に有効です。
防水シール工事
屋根・壁の継ぎ目、開口部周辺にシーリング剤・ルーフィングを施工。シーリング材の耐久性は7~10年のため、定期的な更新が必要です。
透湿防水シートの活用
屋根・壁の下層に透湿防水シートを敷設。外部からの浸水を防ぎながら、内部の湿気を逃がします。
■ 排水・通気の設計的工夫
降雨時に鋼構造物内部に浸入した水分は、すみやかに排出され、通気により乾燥される必要があります。設計段階での排水・通気対策は、後年の大規模な補修を防ぐための投資です。
- 勾配付き床面設計:工場床面に適切な勾配を設け、雨水が集水溝へ自然流下するように設計。滞留した水が腐食を加速させることを防止
- 通気孔・換気口の配置:屋根の棟部・軒部に通気孔を設置。壁面にも定期的に通気口を配置し、内部の湿気を外部へ放出
- 隅角部の水抜き設計:柱脚部や隅角部に雨水が溜まらないよう、細部のディテール設計を実施。特に溶接部周辺は水が溜まりやすいため注意
- 雨樋・竪樋の適切な配置:屋根から落ちる雨水を集水し、敷地外へ排出。雨樋内に詰まりが生じないよう、定期的な清掃を前提とした設計
防食・塗装メンテナンスの実務的アプローチ

設計段階での対策が完璧であっても、完成後のメンテナンスを怠ると、耐久性は著しく低下します。特に防食塗装は、紫外線・雨水・温度変化により劣化が進むため、定期的な診断と補修が不可欠です。
■ メッキ・塗装の劣化診断
鋼構造物の防食方法は、大きく分けて メッキ加工 と 塗装 の2種類があります。それぞれの劣化パターンと診断方法は以下の通りです。
■ 季節に応じたメンテナンス計画
効果的なメンテナンスは、季節の特性を理解した計画立案が重要です。以下のサイクルで定期的な点検・補修を実施することで、ライフサイクルコスト(LCC)の最適化が実現します。
春季(3~4月)
冬季のダメージ点検:気温変化による割れ・剥がれ確認。塗膜の浮き・剥離が見られた場合、梅雨前に補修実施。雪害による物理的ダメージの確認。
初夏(5~6月)
梅雨対策強化:雨樋・排水溝の清掃を実施。防水シール材の亀裂・剥がれ確認。結露が発生しやすい部位を重点チェック。
秋季(9~10月)
秋雨対策・塗装更新検討:秋雨時期の浸水リスク評価。塗装の耐用年数が近い場合、塗替え工事を冬期または早春に計画。
冬季(11~2月)
塗装工事・大規模補修実施:気温が低く、降雨が少ない環境で、塗装・防水工事の施工に最適。計画的な塗替え工事を実施。
季節変動に対応した鋼構造物の耐久性確保は、設計段階での工夫」「施工品質の確保」「竣工後のメンテナンスの3つの要素が相互に補完された時に初めて実現します。有限会社西田鉄工は、石川県白山市・金沢市を中心に、北陸エリア全域で、この3要素を統合した鋼構造物製作サービスを提供しています。
気温・湿度の変化が著しい北陸地域において、長期間にわたって安定した性能を発揮する鋼構造物の製造には、設計図の作成から施工、完成後のアドバイスまで、一貫した責任体制が必要です。創業昭和49年、平成3年の設立以来、様々な工場・施設の鋼構造物製造に関わってきた当社の経験と技術が、皆様の施設の長期的な安心につながるものと確信しています。
新規受注をご検討の企業様、施設管理をご担当の皆様は、ぜひ一度、有限会社西田鉄工にご相談ください。詳細なご提案、概算見積、技術的なご質問など、どのようなことでもお気軽にお問い合わせいただけます。









